クリニックと診療所の違いとは

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開業する場合、院長自身がクリニックの名称を決める必要があります。世間には「〇〇医院」や「〇〇クリニック」など、さまざまな名称が存在していますが、「医院・クリニック・診療所は何が違うのか」という点が気になる先生もいらっしゃるかもしれません。今回は、クリニック・診療所の違いを踏まえつつ、医療施設の類型に関する詳細や病院との役割の違いについて解説します。

クリニック・診療所の違い

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一般的に、クリニック・診療所は同じものを指します。医療法に明記されている名称は「診療所」のみですが、より親しみのある名称としてクリニックが多く使われています。
医療法における「診療所」の定義は、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」(医療法第1条の5)とされています。つまり、患者さまの入院上限が19人以下であれば、その医療機関は診療所(クリニック)に分類されることになります。

医療機関の名称の付け方のルールは?

医療法第3条2項では「診療所は、これに病院、病院分院、産院その他病院に紛らわしい名称を附けてはならない」と規定されているため、診療所に分類される医療機関はいかなる場合でも「病院」という名称を使ってはいけません。このルールを守れば、診療所の名称は自由に決めることができ、医院やクリニックはもちろん「〇〇内科」「〇〇外科」など、診療科目を自院の名称として使っても構いません。ただし、開設許可を出す各地方自治体によっては、独自の基準を設けているケースもあるので、あらかじめ当社のようなコンサルタントにご相談いただく方がよいでしょう。

医療施設の類型について

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医療法で規定されている医療施設(医療機関)は、以下の4種類となります。
病院
診療所
助産所
薬局
さらに、病院は一定の要件を満たすことで、以下の3種類に分類されます。
特定機能病院
地域医療支援病院
臨床研究中核病院

病院とは

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病院とは、20人以上の患者さまが入院できる施設を有する医療機関のことを指します。診療科目や設備の違いで「総合病院」「精神病院」「一般病院」の3種類に分類されます。

総合病院:患者さま100人以上の収容施設を有し、診療科名に内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻咽喉科を含み、かつ、設備の諸規定を満たし、都道府県知事の承認を得ている病院
精神病院:精神病床のみを有する病院
一般病院:上記などに該当しない病院

診療所とは

診療所(クリニック)は大きく分けると「有床診療所」「無床診療所」の2種類に分類されます。

有床診療所:19人以下の患者さまが入院できる施設を有する診療所
無床診療所:患者さまが入院できる施設をまったく有さない診療所
診療所の類型については、開設者が医師または歯科医師個人であるか、もしくは医師以外(市町村・医療法人など)であるかによっては区別されませんが、地域によって届出方法や様式が異なる可能性もあるので注意しましょう。

特定機能病院とは

「特定機能病院」とは、高度の医療技術の提供および開発・研修を実施する能力を備えていることを、厚生労働大臣から個別に認可されている病院です。医療施設機能の体系化のため、1992年の第二次医療法改正から制度化されました。特定機能病院の承認を得るためには、400床以上の病床を有する必要があるほか、紹介率・構造設備・人員配置・診療科目などの要件も満たさなければなりません。

地域医療支援病院とは

「地域医療支援病院」とは、地域医療を担うかかりつけ医・かかりつけ歯科医などを支援する能力を備えていることを、都道府県知事から個別に認可されている病院のことを指します。地域医療支援病院についても200床以上の病床を有する、紹介患者中心の医療を提供しているなど、さまざまな承認要件を満たす必要があります。

臨床研究中核病院

「臨床研究中核病院」とは、日本発の革新的な医薬品や医療機器などの開発にあたり、国際水準の臨床研究などの中心的役割を担うことを、厚生労働大臣から認可されている病院であることをさします。臨床研究中核病院になると、より質の高い臨床研究・治験を実施できるため、研究者などの人材や被験者が集まりやすいといったメリットが見込めますが、こちらも厳しい承認要件が定められています。

病院と診療所の違いについて

一般的に病院と診療所(クリニック)はよく混同されがちですが、医療機関というカテゴリが同じというだけで、実際はさまざまな違いがあります。開業を検討されているようであれば、病院と診療所における施設基準の違いも把握しておくことが大切です。

入院患者のベッド数について

病院と診療所の最大の違いは、患者さまが入院できるベッドの数の違いです。入院患者用のベッド数が20床以上なら病院、無病床もしくはベッド数が19床以下なら診療所になります。なお、病床には以下の5種類があり、それぞれ必要な構造設備や人員配置が異なります。

一般病床
療養病床
精神病床
感染症病床
結核病棟

このうち診療所(クリニック)に設置できるものは「一般病床」「療養病床」の2種類です。他の病床に当てはまらない患者さまは一般病床、長期にわたる療養が必要な患者さまは療養病床での入院となります。

構造設備について

病院や診療所には、それぞれ必置施設や病床面積などについて細かい規定がありますが、診療所は構造設備に関して病院ほど厳重な規制が設けられていません。たとえば、一般病床を設置する場合、病院では必置施設として「各科専門の診察室」「手術室」「処置室」「給食施設」などが規定されている一方、診療所では「消火用の機械または器具」のみです。
また、一般病床の病床面積については病院が「6.4㎡/床以上」であるのに対し、診療所は「1人部屋 6.3㎡/床以上・2人部屋~4.3㎡/床以上」と、規制が緩くなっています。

人員配置について

病院の場合、病床の種別に応じて人員配置標準が定められています。これは入院患者数に対して、医師やスタッフを一定数確保しなければならないというルールです。スタッフは看護師のほか、薬剤師・放射線技師・作業療法士・理学療法士など、診療科目に合わせて配置する必要があります。一方で、診療所には原則として医師が1人いれば開業可能で、有床診療所の場合でも一般病床なら特に規定はありませんが、療養病床なら患者さま4人に対して看護師を一人配置する必要があります。スタッフは診療・経営を支えてくれる重要な存在なので、適材適所に配置することが求められます。

役割について

病院と診療所を比較した場合、医療機関としての役割にも違いがあります。病院は入院中心であり、急性期医療や高度医療を提供することが主な役割で、診療所に比べて医療設備が充実しており、救急搬送に対する体制も整っているため、難病や重症の患者さまへの診療が求められています。その一方で診療所は外来中心であり、プライマリケアの提供が主な役割です。軽い病気や怪我の治療から健康に関する相談まで、身近なかかりつけ医として幅広い対応が求められています。このように機能分化させつつ、治療内容や患者さまの状態変化に応じて紹介・逆紹介を行うことで、地域医療を支えています。

診療報酬について

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開業医の収益源となる診療報酬は、診療内容が同じであれば病院も診療所も基本的に同じです。ただし、地域医療の機能分化を適切に行うため、200床以上の病院には「選定医療費」の徴収が認められています。選定医療費とは、患者さまが紹介状なしで病院を受診した場合、医療費に上乗せされる費用のことを指し、これは軽症の患者さまの診療所利用を推進しつつ、重症の患者さまが1人でも多く病院を受診できることを目的としています。また、有床診療所の入院基本料については、施設基準に応じて診療報酬点数が段階的に設定されています。

施設数について

医療機関の施設数を見てみると、病院は10年以上前から横ばいでほぼ変化なし、無床診療所は増加している一方、有床診療所は減少傾向にあります。その一方、有床診療所の施設数は20年前の半分以下になっておりかなり減少しています。

病院と診療所の仕事や働き方の違い

病院と診療所(クリニック)は単純に規模が違うため、仕事内容や働き方にも違いが出ます。
たとえば、1日あたりの来院患者数は診療所のほうが少ないので、必然的に仕事量が減る関係上、スタッフの数も少なくなります。そのため、大きな病院のように分業制ではなく、スタッフ1人ひとりが受付・会計業務やレセプト業務など、幅広い業務を担う傾向にあります。また、診療所はスタッフの数が少ない分、院長の仕事量が増える可能性もあります。開業医として働く場合、日々の診療だけではなく、経営者としての業務にも対応しなければならず、労務管理・採用選考・広告運用・行政手続きなど、院長がやるべきことは多いので、勤務医のときとは異なる心構えが必要になります。

クリニック開業は専門のコンサルタントに相談を

診療所(クリニック)は病院と比べると、施設基準・人員配置・役割・働き方などが異なります。クリニックを開業する際は、他の医療機関との連携も考慮しながら開業場所を決めていくほうがよいでしょう。また、開業許可を出す判断基準は、各保健所によって異なるケースもあるので、当該地域での実績を持つ開業コンサルタントへの相談をおすすめします。
当社では数ある実績の中から、先生によりそいご開業までサポートさせていただきます。
ぜひ一度当社までご相談ください。

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