スタッフの負担軽減と患者満足度のバランスについて

医療運営

昨今、医療現場でも「業務効率化」「IT化」「DX化」などのワードを耳にするようになりました。特にクリニックでは患者様の診療に加え、予約受付や会計など多岐にわたる業務があり、スタッフの負担が大きくなっています。

実際に、業務効率化をしたいというご相談は多くあります。しかし、業務効率化が重要視される一方、患者満足度を下げることに繋がりかねないいう懸念もあります。
そこで、クリニックの業務効率化と患者満足度の両方のバランスを上手く取る方法、考え方を解説します。

なぜ「業務効率化」がキーになっているのか

近年、医療現場では医療費の削減や医療の質の向上が求められており、医療機関の業務効率化が重要視されています。また、医師、看護師の不足の深刻化や新型コロナウイルスをきっかけに急激に加速したIT化、オンライン資格確認をはじめとした国の施策などにより、クリニックの受付業務が煩雑になりやすい状況であることなど、業務効率化によって現場で働くスタッフの負担軽減も注目すべき観点になっています。

今回は、受付業務に注目を置き、業務効率化について解説したいと思います。
現在開業するクリニックにおける受付業務は増加傾向にあり、現在ではおおよそ以下の7個の項目があります。

① 予約管理
→患者予約対応、空き状況の管理、電話での問い合わせ対応
② 来院患者の受付
→オンライン資格確認対応(又は健康保険証確認)、患者登録
③ 問診確認
→必要に応じてカルテへの問診転記作業
④ 会計処理
→レセコン/電子カルテの会計チェック、会計金額の確定
⑤ 支払対応
→診察費用の授受、処方箋のお渡し
⑥ 紹介状の送付
→総合病院へ紹介となる場合は当該病院へ電話し、予約取りを行う。
⑦ レセプト請求
いかがでしょうか。待合室で待機されている患者様の対応をしながら、受付事務は様々な業務を次から次へと行っていく必要があります。

そこで、昨今クリニックが取り組むのが「受付の業務効率化」です。
業務効率化の方法はいくつかあり、その中でも例となる3つものをご紹介します。

① システム導入
電子カルテや予約システム、自動精算機、問診システムなどを導入することで業務の効率化や時間の削減が可能になります。

② プロセス改善
診察や受付手続きなど、クリニックの各業務を見直し、改善点を洗い出すことで無駄を減らし、業務の効率化を図ることができます。

③ アウトソーシング
クリニックの業務の中でも、時間やスキルが必要な業務をアウトソーシングすることで、クリニック側の業務効率化が図れます。

今回は、特に①のシステム導入について注目していきます。

例えば、システムの導入においては以下の様な業務効率化に役立つシステムが多く存在しています。

・Web予約システム
→電話や窓口での予約管理を削減できます。患者自身が予約を管理するWeb予約が主流になってきつつありますが、科目特性上高齢者の患者様が多い科目については操作面に不慣れな方も多く、操作方法がわからなければ予約につながらない恐れもあるので注意が必要です。
・Web問診システム
→事前に患者様ご自身でWebから問診を記入し来院することで、紙問診票を電子カルテへ転記する作業を簡略化し、スキャンして取り込む手間を削減できます。
しかしながら、こちらもWeb予約システムと同様、操作に不安を感じる方や発熱患者や骨折されている患者様等急性期疾患の患者様が多いクリニックでは患者様のストレスとなることが多いため、注意が必要です。
・自動精算機
→会計時のスタッフ対応を無くす事による業務削減のほか、診療終了後のレジ締め作業の手間を削減することや未収金の調査等の時間的コストとそれにより生じるスタッフのストレスも軽減できます。

また、クリニックを運営するうえで大切なのは院内体制だけではなく、患者満足度とのバランスについても考える必要があります。
業務効率化は重要ですが、それによって患者様からの信頼を失っては元も子もありません。
実際に自院で運用する前にしっかりスタッフ研修を行い操作対応に備えることが最も大切です。ITシステムの導入は業務効率化に大変役立つ方法の一つですが、クリニックの運用や患者層に合わないシステムの導入はかえって混乱を招き、効率を落とし結果的に患者満足度の低下に繋がることがあります。
そうならないためにはしっかりと患者への事前アナウンスを行うことも重要です。
新しくシステムを導入し患者動線に変更が生じる場合は、数か月前から事前に患者にアナウンスすることが重要です。「今までと違う」「なんだか、対応が嫌な感じになった」等、小さな変化でも患者の受診体験を低下させる可能性があります。

クリニックごとの課題や状況、運用や患者層など様々な要素をふまえ、スタッフの業務が本当に効率化するのか、患者とスタッフ両者に負担なく導入ができるかなど、広い視野でクリニックを見直し実務に沿った方法を選択することが肝心です。
近年では業務効率化に役立つITシステムが増加していますが、まずは、自院の課題を明確にし、どのシステムをどう運用する事で改善できるのか判断することが求められてきていると言えます。

当社ではそのような課題に対しても、しっかりと現在の状況を把握しご提案することが可能です。お困りの際はお気軽にご相談ください。

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